この記事はフィクションです。某アイドルアニメ編~表現の自由ウォーリアーを添えて~

この記事はフィクションです。

けれどこれを見てくれているあなたも、これを書いている自分も存在します。

 


『これが駄目なら交通事故だって書けなくなってしまう!』
という呟きを見て、思わず溜息をついてしまった。

この呟きは某動画サイトのショートで流行っている曲を主題歌に
今期から始まった某アイドルアニメの炎上に対するものである。

まず、炎上の発端はリアリティショー編にある。
内容はリアリティショーに出演していたキャラクターの一人が、誹謗中傷を受けて自殺をしてしまう、という物だ。
これを見て、自分も、いや自分がそう思うよりも先に、視聴者が現実で起こった事件と、そして被害者を連想していた。

誰も、何一つ、自分たちの感性を疑ってはいなかった。
そして、その話が放送されたのは、その実際に起こってしまった事件の被害者の命日であった。

それを考えれば、そこからして配慮が欠けていたとしか言いようがない。
被害者の遺族の方が、このアニメの、この話に触れて、自分の娘の死が、事件が、エンターテインメントとして消費されている事を批判した。
あの頃から時は経っていない。

経っていないだけではない、まだ事件は解決なんてしてはいないのだ。
実際のバラエティに関わった番組サイドは、被害者への行動の強要をし続けた事、誹謗中傷を止めなかった事、それら全てを有耶無耶にしてしまった。
それに対して、遺族は戦い続けている。

そんな中、安易にエンターテインメントにしてしまう事、主人公の活躍の踏み台にしてしまう事。
それは風化させているといっても過言ではない。

おそらくそのアニメの内容を見て、これはあの事件ではないか、と連想した自分や、視聴者ではなく
いきなり現れた表現の自由ウォーリアーが、遺族に対してこれはフィクションだ、何かの間違いだと言いながら、誹謗中傷の嵐に呑み込んでいた。

某アイドルアニメは一部設定こそファンタジーではあるものの、広く、主人公たちを取り巻く設定は現実世界の派生のようなものである。
つまりは現代劇なのだが、ただ現代を舞台にしているだけではない。
現実の/現代に起こっている事例を引用し、物語に組み込んでいるのだ。そしてキャラクターにそれを説明させてさえもいる。

だから自分も、視聴者も、容易にあの事件を連想したのだし、遺族の方も間違いないと断定できた。
これが現代劇ではないファンタジーアニメでの出来事で、バラエティやリアリティショーも無ければ、フラッシュバックする人はまったくとは言わないがいないだろう。

そんな事もわからず

『これが駄目なら交通事故だって書けなくなってしまう!』
と呟いてしまえる人間がいるのに、実は溜息以外にも目を丸くしてしまったりもしていた。

ただし交通事故だって、現代劇かつ、どういう描写をするかによってはフラッシュバックしてしまう人は山ほどいるだろう。
ここで安易に交通事故と一緒にするなよ、とは言わない、だが何も考え無しに言ってしまうのは、呆れるしかない。

 

ところで、これを見ている

そこの君

壁を急に超えてしまって申し訳ない。

 

そこの君というのは、表現の自由ウォーリアーの言い分の方に味方していた場合の君だ。

表現の自由には責任は伴わなくてもいいと思っているのだろうか? 自由には責任が伴うの。

 

ちなみに、この記事はタイトルにも、出だしにもあるようにフィクションなのだから

私の書き連ねた事は、フィクションとして許してほしい。

 

終わり